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SECOND DAY

MONTENVERS

 今日は、朝から曇っていました。ローマ、そしてジュネーヴと飛行機の旅を続けてきた私たちは、少し休息もかねて今日の予定は、ここシャモニに滞在する事にしました。ホテルの朝食を済ませ、私たちはミッシェル・クロ通りをブラブラとお土産物屋さんなどを覗きながら、シャモニ・モンブラン駅まで来ました。モンタンヴェール展望台へ行くためです。

 駅前の駐車場の左手に、モンタンヴェール行の登山電車の駅へ通じる階段があります。階段を上ると歩道橋越しの正面に登山鉄道の駅舎が見えます。フランス国鉄の線路を渡ると、駅前の広場はアスファルトの張り替えか何かの工事中でした。

 券売所は、駅の左手のトイレの隣にありました。モンタンヴェールまでの往復と、メール・ド・グラスまでのゴンドラの往復切符を通しで購入(116フラン)、しっかりトラベラーズ・チェックが使えました。その後、列車の時間(11:00発)まで少し時間があったので、駅から見える踏切の近くのお土産物屋さんで時間をつぶす事にしました。10分前に駅に戻ってみると、もう、ゲートは閉ざされていました。「あれ?」と思い、事情を聞いてみると「定員いっぱいで、もう列車に乗れない」との事。次の列車は12:00発。「ええー、1時間も待つの?」

 またお土産物屋さんに逆戻りです。今度は冷やかしだけでなく、しっかりと買い物をしました。あまり重いものや、大きい物は買いませんでしたが…。

モンタンヴェールの登山電車

 今度は30分前に駅に戻りました。ホームへは駅舎を通らず、券売所の左隣のゲートから入ります。工事中の為でしょうか?ホームの側らに、急勾配の線路上に小さな蒸気機関車が飾られていました。昔はこの機関車で登っていたのでしょう。とにかく、ホームで待つ事約20分、発車5分前に、赤い登山電車がごろごろと音をたてながら、ゆっくりとラック・レールの線路を下ってきました。乗っていた乗客を降ろした後、私たちの側のドアが開けられました。皆、待ちくたびれていたのか、我先に(特に子供たちが)列車に乗り込んでいきますが、日本のラッシュ時ほどではありませんでした。

 それでも私たちは、列車の進行方向に対して左側の席をしっかりとキープする事が出来ました。列車は急勾配を登るので、シートは前向きと後向きとでは背もたれの角度が違います。重々しくモーターの音を唸らせ、列車が走り出しました。

 発車してすぐに踏み切りを越え、列車は森の中に入っていきます。モミの木々の切れ間からシャモニの街が少しずつ小さくなっていくのが見えます。左側に座るほうが、右側よりもはるかに眺めは良いですね。右側に座ると、森や山肌ばかりを見ていなくてはなりません。反対側ばかり見るのは結構疲れます。高度を上げるに連れ、森の木々も少なくなり、上から見下ろす谷間の景色が良く見えるようになってきました。シャモニの隣の村レ・プラも良く見えます。列車は少しずつ進路を変え、右に回り始めました。そして短いトンネルを貫けると、今度は右の車窓から谷に広がるシャモニの街が広がります。

 もう一度、今度は左に回り、トンネルを貫け、また谷を見下ろす車窓の景色が左側へ戻ってきました。どんどん、列車は高度を上げていき、私は何度か耳がツーンとなるのを唾を飲み込んで防がなければなりませんでした。シャモニの谷の奥の方(スイス方面)まで見渡せるようになってきますと、また列車は少し右へと進路を変えて行きます。木々の上、前方にドリュ(3754m)が現れました。高く、天に聳えるその姿を初めて見た時、私はその突き刺さったかの如し容貌にすっかり見入ってしまい、長々と眺めていたのを思い出します。「この風景を持って帰りたい。」と思った事はないでしょうか?「巨人族の道祖神」その時の私の気持ちです。

ドリュ

 ドリュが現れてすぐに列車は終点モンタンヴェールに到着です。この頃には、薄い雲から太陽の光が少しずつ漏れてきていました。駅にはセルフサービスのビュッフェがあり、軽食も取る事が出来ます。駅の前には巨大なドリュが聳え、そして眼下をメール・ド・グラス氷河が流れています。氷河の上流に目をやると、谷間を塞ぐようにアルプス三大北壁のひとつグランド・ジョラス(4208m)北壁が迫っていました。

 メール・ド・グラスへのゴンドラの駅は、鉄道駅のすぐ近くにありました。少し変わったゴンドラで、2つのゴンドラがペアになっています。乗っていると乗降客の乗り降りのために、モンタンヴェールとメール・ド・グラスとの間で一度停まります。氷河の上に降り立つと、そこに氷河の中に入れるように開けた穴があり、中に入ることが出来ました。氷河の中には、氷の彫刻でいろんな物が作られていました。セント・バーナード犬もいて、記念写真を撮る事も出来ます(有料)。

 氷河に開けられた穴は、毎年か或いは数年毎に、新しく掘られるようです。氷河の下流にその痕跡を見ることが出来ました。4月の終わり頃の山にはまだたくさんの雪が残っていて、氷河スキーを楽しむ人がたくさんいます。そして、ここメール・ド・グラスはスキーの終着点になっていました。この氷河スキーの出発点は、なんとあのエギーユ・デュ・ミディです。私には真似出来ませんね…。

 私たちは駅のビュッフェで食事を取り(写真右。ビールも飲んじゃいました…)、2:30発の列車で下山。その後は、またお土産物を物色しました。朝に垂れ込めていた雲もかなり晴れていて、眩しい太陽が輝いています。明日のドライヴの予定は、モンブラン・トンネルを貫けてイタリアに入り、クールマイユールからアオスタを経由してグラン・サン・ベルナール峠を越え、スイスに入ろうと思っています。とりあえず観光案内所に、何か道路状況などについての情報がないかを聞きに行きました。

「Good Mornig.」
何を思ったか、私はカウンターのお姉さんにこう言ったのです。
「Non!今は“こんにちは”か“今晩は”の時間よ。“おはよう”じゃないわ。」
お姉さんは大きな身振りで皆に話すように言ったので、かなり恥ずかしい思いをしました。
「ごめんなさい、間違った…」何で謝らなきゃならないんだ?
とにかく、明日のドライヴの事を聞きました。すると現在モンブラン・トンネルは封鎖されているとの事でした。去年トンネル内で大きな火災事故があり、40人だか14人だか(リスニングがイマイチでした…)が死亡したらしいのです。そう言えばそんな事故があったような気がする…。それに昨日見たあの封鎖された道路は…あれがモンブラン・トンネルに行く道路だったのです。そこでスイスに行くにはどうすればいいのかを聞くと、シャモニの谷を奥に進み、峠を2つ越えて行けるとの事でした。

レ・プラの礼拝堂とドリュ

 一旦ホテルに戻り、もう一度ドリュを見ようと車でレ・プラに行きました。シャモニからレ・プラまでは3km。ここからのドリュの姿は格別で、美しい姿を見せてくれます。明日のドライヴは予定を変更して、モンブラン・トンネルを通らずにスイスに入ることになりました。スイスのマルティニとシャモニ間は、モンブラン・エクスプレスでしか越えた事はありませんでしたが、明日、2つの峠を越えるのも楽しみです。

第2日目の走行距離:6.0km

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